下痢の原因・小児の慢性下痢②
下痢は小児によくみられる症状の一つです。消化管に何らかの問題がある時に発症します。
急に始まる下痢は、ウイルス性胃腸炎によるものが大半を占め、自然に治っていくことが多いのですが、ときに重症化する場合もあります。
しかし、慢性的な下痢の場合は栄養不足に陥ったり、成長の過程で問題が生じる場合があります。
前回に続き慢性的な下痢の原因を調べてみましょう。
子供の慢性的な下痢の原因
持続性下痢の原因は、吸収不良症候群や反復性軽症下痢、腸炎後症候群などが挙げられます。
吸収性不良症候群は前回で述べましたので、今回は反復性軽症下痢と腸炎後症候群について考えてみましょう。
下痢の原因となる反復性軽症下痢
反復性軽症下痢とは日常生活を障害するほどの下痢の症状が一定の時間をおいて、繰り返し起こったりやんだりする状態が3カ月間に3回以上起こり、明らかな機能的または器質的原因がないものです。
お腹が弱く繰り返し下痢をしてしまう体質の子どももいます。反復性の下痢は学童期や思春期(中学生ごろ)などに多く、過敏性腸症候群が代表的な疾患です。
過敏性腸症候群は心身症(ストレスなどが影響し、それによってさまざまな身体的な症状が起こるもの)の一つであり、そちらの病状に沿った治療薬を使うことがあります。心身症に伴う下痢の場合、なるべく時間をかけて、子どもの様子を観察しながら治療にあたります。
下痢のほかに、腹痛、顔面蒼白、嘔気、気分不快、食欲不振、便秘、倦怠感、頭痛などの身体症状を伴うことがあります。几帳面、敏感、神経質な性格の子供がなりやすく、不登校の原因にもなります。
下痢の原因となる腸炎後症候群
腸炎後症候群による下痢は何らかの原因で腸炎を発症した後に慢性的な下痢が続く症状です。
腸の中には食べ物、異物、細菌などが存在しています。それに対して人の体は異物や細菌から体を守ろうとする働きを持っていますが、その働きのバランスが崩れて腸の一部または全体に炎症、出血、壊死(細胞が部分的に死ぬこと)などがおこることを腸炎といいます。
腸炎の病因は、小児では細菌やウイルスなどの感染症による腸炎が最も多く見られますが、感染以外では抗生剤によるもの、ミルクなどのアレルギーによるものなどが比較的多く見られます。また小児外科に関係した病気では、ヒルシュスプルング病で腸炎がおこりやすいことが知られています。
ヒルシュスプルング病は、腸を動かす腸管神経節細胞が生まれながらに欠損しているため、便がうまく通過しない病気です。この神経節細胞がない腸管を無神経節腸管と呼びますが、無神経節腸管は必ず肛門から連続しておりその範囲によって重症度が違います。無神経節腸管の手前では便が渋滞し、腸が著明に拡張することから先天性巨大結腸症と呼ばれていました。
下痢をしているときはスキンケアも忘れずに
乳幼児の肌は大人の1/3の薄さとも言われていますので、慢性の下痢をするとお尻がただれやすくなります。乳幼児の下痢の時はその都度、洗面台にお湯を張って、ガーゼでぬぐうように洗い、その後はしっかり乾かしてからおむつを履かせてみましょう。
きれいに洗浄した後の保湿も忘れずに行ないましょう。
手間こそかかりますが、肌がただれてからのケアよりはずっと楽です。清潔な肌を保つ方法としては有効です。
*小児の下痢では脱水に注意
小児に下痢が起こったとき、最も重要なのは脱水のサインを見極めることです。
小児は大人よりも容易に脱水になります。そのため、小児が下痢を訴えて受診した場合、医師はまず脱水のサインがないかを診察します。
ただし、基本的には、下痢症状が現れていても、元気で「食べる、寝る、遊ぶ」などがしっかりとできていれば心配はありません。
小児の下痢を家庭で注意して観察すべきところは?
急激かつ大量の下痢が何度も出ている場合、尿が半日以上出ていない場合はただちに病院へ向かってください。また、普段よりも元気がなく、様子がおかしいなど、小児が「ぐったりしている状態」の時はただちに治療が必要な状態と認識して下さい。
脱水の程度を知るためにポイント
①尿の量と回数(十分に出ていなければ脱水が進行している)
②おむつの重量(十分に重くなければ尿が出ていないと考えられる)
③下痢の回数(下痢と一緒に水分が出ている場合も多い)
脱水の程度を知るために、尿の量は大事な手がかりです。尿が十分に出ていないときは、体の中の水分が足りず、尿も作れなくなって、脱水が進行している可能性を考えます。また、下痢の量をみることも重要になります。
注意すべき下痢の見極め方
赤ちゃんでは、ミルクの飲みっぷりは良いけれども、便に血が少量、点状に混ざっていることがあります。これは健常な赤ちゃんならばよく見られる状態です。このような便が出たとしても、元気がありミルクの飲み方も順調であれば問題ありません。
一方、便に大量の血液が混ざっている「粘血便(ねんけつべん)」は危険なサインです。粘血便とは、血液が塊のように入っていたり、膿と血液が混じり合っている便のことを指します。
特に、イチゴジャムのように赤みをおびた便がみられるときは、腸重積(腸同士が重なるようにはまりこみ緊急の対応を要する病気、乳幼児に多い)を考えなければなりません。
また、鉄さびのような赤黒い便が出たときは、上部消化管(食道・胃・十二指腸など、食べ物の消化の前半に関わる部分)から出血している可能性があります。
濁ったような異臭を伴う灰白色の便にも注意が必要です。
腸内環境意を整えよう
「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。幼い時から腸内環境を整えておくことは、その子の人生に大きく影響します。臓器の中でも腸に関する病気が最も多く、腸が正しい機能を発揮できれば、健やかに成長し、丈夫な身体になれます。
腸内環境を整えることは最重要と考えましょう。腸内環境を整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。