下痢の原因は特定の糖質で起こる
慢性的な下痢の原因は特定の食べ物が体に合わなくて起こる場合が合います。特に糖質に多く見られます。おなかが弱いのは体質だから仕方がない、半ばあきらめておられる方はすくなくありません。
特に日常生活にそれほど支障がない方は、こんなことでわざわざ病院に行くのは恥ずかしい」など、おなかの不調に慣れてしまい放置している方もおられると思います。食べ物の中の糖質がどのように下痢に影響するのでしょうか。ご一緒に考えてみましょう。
慢性的な下痢は特定の糖質(FODMAP食)で下痢が悪化する
慢性的な下痢、特に過敏性腸症候群の最新研究では、炭水化物などに含まれる特定の糖質「FODMAP(フォドマップ)」が注目されています。過敏性腸症候群の人は、FODMAPというある種の糖質を小腸でうまく吸収できない体質と腸内細菌の特徴をもっており、これらを多く摂取したときに症状が悪化する、という考えで、豪州のモナッシュ大学をはじめとする海外で盛んに研究が行われています。
本来、糖質は消化酵素で分解され、小腸で吸収されます。ところがFODMAPは小腸で吸収されづらいため、小腸から大腸へとそのまま到達します。そして大腸で腸内細菌とFODMAPが急速に異常発酵を起こし、過剰な水素ガスが発生し、腸の働きが不調になるのです。 つまり、腸全体が過敏になり、おなかがゴロゴロしたり、痛くなったり、ガスがたまったりします。
現在、欧米・豪州では低FODMAP食が盛んです。FODMAPが多い食品を避け、症状の引き金となる糖質を特定していく方法です。
3週間、低FODMAP食にすることで約7~8割の方は症状が改善します。消化器系の医学誌で最も権威の高い「Gastoroenterology」誌の最新号でも、低FODMAP食が過敏性腸症候群に有効であることを証明した論文が掲載されました。最近注目されているグルテンフリー食も過敏性腸症候群に効果が期待されますが、今のところ科学的にその有効性が確認されていません。それよりも低FODMAP食のほうが科学的にも有効性が高いことが論文で確認されています。
🔷特定の糖質、FODMAPとは
FO=発酵性オリゴ糖(Fermentableの Oligosaccharides)
D=二糖類(Di-saccharides)
M=単糖類(Mono-saccharides)
A=ANDのこと
P=ポリオール類(Polyois)の略語です。
FODMAPは、炭水化物などに含まれ過敏性腸症候群の症状を悪化させると考えられる特定の糖質の略称。これらの糖質を含む食品をとると、腸の運動が過敏になり、下痢、膨張感、ガス、便秘が増えます。
特定の糖質(FODMAP)が多い食品はガスが発生しやすい。
下記はその一例です。
●特定の糖質が多い食品 (慢性的な下痢が続く方の避ける食品)
小麦、大麦、うどん、ラーメン、パスタ、ケーキ、納豆、キムチ、トウモロコシ、豆類(ひよこ豆、レンズマメ、さやえんどう)アスパラガス、ニラ、ニンニク、ゴボウ、セロリ、
牛乳、ヨーグルト、玉ねぎ、ネギ、豆類、リンゴ、柿、スイカ、梨、プルーン、プラム、イチジク、ザクロ、
キリシトール、スモモ、干しブドウなど
●特定の糖質が少ない食品(慢性的な下痢が続く方が食べても大丈夫な食品)
米、そば、豆乳、豆腐、シリアル、オートミール、コーンスターチ、トマト、人参、もやし、ほうれん草、なす、ブロッコリー、さつまいも、かぼちゃ、キュウリ、ショウガ、オリーブ、オクラ、レタス、キャベツ、白菜、パセリ、ズッキーニ、バナナ、イチゴ、ココナッツ、ブドウ、オレンジ、レモン、ザボン、栗、卵、牛肉(赤身)、鶏肉、魚介類など
特定の糖質で下痢になる方への改善策として
過敏性腸症候群の人の腸内では、バイヨネラとラクトバシラスという腸内細菌が多く、これらが作り出すある代謝産物が過剰なほど過敏性腸症候群の症状が悪いことがわかっています。低FODMAP食にするとこの代謝産物が減り、症状が改善することがわかっています。
①過敏性腸症候群の人は、まず最初に3週間、高FODMAP食を控え、上記に挙げた低FODMAP食をとってみましょう。
②次に高FODMAP食でふだんよくとっていたものを、おなかの調子を見つつ1品ずつとり入れ、自分の体質に合う食品、合わない食品を特定することを目指しましょう。
③オリゴ糖や発酵食品などは一般的に「腸にいい」とされトクホに認定されている食品も、過敏性腸症候群の人にはかえって症状を悪化させかねないものがあります。腸内細菌は個人個人で指紋のように多様であり、それぞれ種類も総数も違います。
③食事日記をつけると改善策が早く見つかります。
ふだんから腹痛などの症状がない無症状の人と、ふだんから腹痛や下痢などの症状がある人では、食事方法が異なることを覚えておきましょう。
下痢を改善するために
腸は、普段口にしている食べ物や飲み物から栄養を吸収し、血液や体質などを決定・形成しています。逆に口から体内へウイルスや細菌が侵入してくれば小腸がいち早く毒を察知し、下痢や嘔吐などを起こさせて身体の中を綺麗に掃除します。
また、その感染を防ぐために体内へ吸収せず便として排出するなど、腸は、私たちの身体を守るもっとも重要な免疫器官となっています。
事実、私たちの身体に存在している免疫細胞の約70%は腸に集中しており、私たちが起きている時も寝ている時も常に腸内の免疫細胞は身体を守り続け、ウイルスや細菌が侵入してきたときは、免疫細胞が行って闘います。
もし、腸内環境が悪いと、免疫力は低下、風邪を引いたり、下痢や便秘、生活習慣病になるなど、様々な病気を引き起こしてしまうのです。腸内環境を整えるサプリメントがありますので上手に利用しましょう。