現代の複雑な社会の中で、食生活不規則な生活、ストレス等で、胃腸はもみくちゃにされています。
一見鈍感そうでいて、実は繊細な神経の持ち主である胃腸は一時的に下痢になったり、あるいは下痢が続いたりしてその苦痛を訴えています。食べ物の話はグルメなどと言われ、会話でもテレビでも話題にされ、大いに楽しまれています。
しかし、食べ物の終着駅の話はなぜか嫌われ、ひそかにあれこれ悩む人が多いのです。今回は正しい知識のはじめとして、口から入った物が終着駅に到着する時どんな変化をして出ていくのか簡単にお話ししましょう。
食べたものが下痢になる道のり…
3日かけて体内をめぐります
食べ物は口に入って、肛門から便に出ていくまで、およそ9メートルの道のりを3日以上かけて旅をします。
①口・・・出発・噛んで唾液と混ぜる
まず口で早速食べ物の消化がはじまります。歯でかみ砕くと同時に唾液と混ぜ合わされます。この唾液の中にはアミラーゼという澱粉の一部を消化する働きを持った消化酵素含まれています。唾液は「おいしそう」と思うと、食欲中枢が刺激されて、分泌が増えます。のみ込まれた食べ物は食道通って胃に運ばれます。
②胃・・・強烈な消化液を分泌
胃の中で食べ物はさらにこねられ、くだかれます。ペプシンという酵素を含んだ胃液が分泌され、たんぱく質の一部を分解、消化します。胃液は強烈な酸ですから、口から入った細菌も、ここである程度殺菌されてしまいます。
③十二指腸・・・膵胃液、胆汁が分泌される
胃から小腸へ行く、その最初の部分で、ここでは膵臓からでる膵液、肝臓からでる胆汁等が分泌されます。便の茶褐色はこの胆汁によるものです。
④小腸・・・・本格的な消化・吸収
小腸は上から十二指腸、空腸、回腸となっています。ここで食べ物が本格的な消化と吸収が行われます。アミラーゼ、トリプシン、リパーゼなどの消化酵素によって、脂肪は脂肪酸に、澱粉はブドウ糖に、蛋白質はアミノ酸にと言うように分解され吸収されてます。
ここで腸内の消化酵素はミネラルがないと作ることが出来ないので、不足すると未消化のまま吸収されたりして血液を汚します。
⑤大腸・・・水分の吸収
大腸は盲腸、結腸、直腸の三つの部分に分けられます。小腸の働きに比べて大腸はゆっくりと進み、小腸で吸収されずに残った水分が吸収されていきます。大腸の中にはたくさんの腸内細菌が棲んでいます。
この腸内細菌の死骸は便の中に加わります。この腸内細菌は有益な細菌数で健康が決まると言っても過言ではない程、重要な働きをします。
⑤直腸・・・食べ物の終着駅
最後に到達するのが大腸の最終地点、直腸です。ここに到達してもすぐには肛門から出て行くわけではありません。ある程度の量が溜まって、直腸の神経がキャッチし、「便が溜まった」という情報を大脳に送ります。
それと同時に排便しようとする働きをする筋肉や神経が関連しあいながら便意が生まれるのです。腸内環境が悪くなるとこの一連のサイクルが狂ってしまい、正常な排出ができなくなり、下痢になり、それが慢性化して下痢が続いたりしてしまうのです。
人のおなかは非常に敏感です。神経組織がおなかに集中していますので、ちょっとした事でも敏感に反応します。日頃からおなかを温めたり、腸内環境を整える、強化する腸内善玉菌をしっかり摂りましょう。
腸内環境を整えよう
「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。昔は今ほど添加物はなかった時代に、腸内環境が健康に大きく左右していることが体験してわかっていたのです。
現代では世界中の食材が満ち溢れ、どの食材が日本人の健康に良いのかさえ分からなくなってきています。一つ一つの食材は確かに栄養豊かであったとしても、日本人の体質に果たしてあっているかどうかは疑問となることが多いものです。
「身土不二」と言う言葉がありますが、身土不二というのは地元の旬の食品や伝統食が身体に良いのでそれを食べましょうという事です。身体に合わないものはそれを早く出そうとして下痢になってしまいます。
また、レトルト食品やコンビニ食品など、添加物がたくさん含まれている様な食べ物は有害な物質が多く、当然腸内の環境を悪くしてしまいます。消化力、免疫力も低下します。
腸内が弱くなると正常な働きが行なわれにくくなり、水分調整も正常に出来ず、水分の多い、つまり下痢状態の便となってしまうのです。
下痢が続く方は、できるだけレトルト食品、ラーメン、惣菜、コンビニの弁当、ファーストフードは避けましょう。そして、外食は控え、出来るだけ添加物の少ない旬の野菜をふんだんに使った手作りの料理を食べましょう。
それと合わせて腸内環境の善玉菌を増やすのに必要なサプリメントなどを上手に利用すると、下痢の改善は早まります。
何を食べても下痢にならない人がいます。そういう人は腸内環境が非常に整っている人です。まずは腸内環境を強化すると、下痢の改善は早くなります。