下痢が続く原因は沢山あります。病的なものから病気ではないものの習慣的に下痢が続く、あるいは一過性の下痢などがあります。
下痢が続く原因・・・冬場の二日目のカレー
下痢が続く原因が分かれば下痢症状に対処でき、薬や病気が回復すれば治る下痢もあります。
ところが下痢が続く原因が分からずに長い間下痢の原因を探しつつも、全く原因が分からない場合があります。
一過性の下痢は殆ど食べ物による原因が多いようです。代表的な下痢の原因として挙げられるのは食中毒です。
食中毒は夏場に多いと言われていますが、実は冬でも多くの食中毒が発生しているのです。例えば、冬場の二日目のカレーなどによる食中毒があります。
下痢の原因はカレー
冬においしいカレーやシチューなどの煮込み料理。とくに「二日目のカレー」のおいしさは定番となっており、大量に煮込んで翌日も食べる家庭も多いのではないでしょうか。
しっかり煮込んであるから安心と思いがちですが、この安心感が実は落とし穴で、食中毒になることがあるのです。「一度しっかり加熱したから」「気温の低い冬だから」と油断していると、鍋の中で菌が増殖してしまう危険があるのです。
カレー食中毒の原因となるのが「ウェルシュ菌」です。ウェルシュ菌って聞いたことありますか?
以前テレビでこのウエルッシュ菌について放映されたことがありますので、耳にしたことがあるかもしれません。カレーが鍋の中で徐々に冷め、45℃くらいになると、ウェルシュ菌は急激に増殖をはじめます。
大量の煮込み料理は冷えるのも遅いため、一晩たった頃には菌だらけになってしまい、大規模な食中毒を引き起こすことがあります。死亡例はあまり見られませんが危険です。
このため鍋料理をひと晩置く場合は、決して常温で放置せず、面倒でも小分けにして冷蔵庫で保管しましょう。温め直して食べるときは、電子レンジではなく、煮込み直してしっかりと加熱をして下さい。
ウェルシュ菌は酸素を嫌うため、加熱の際はよくかき混ぜて空気に触れさせるのがポイントです。
下痢の原因となるウエルッシュ菌とは?
大腸内の常在菌です。人間の身体には常在菌と言って、元々体内に住んでいる細菌があります。口の中や腸内が代表的な場所ですが、ウェルシュ菌は人間の大腸に住んでいる常在菌です。
また、ウェルシュ菌は畜産食料品となる動物の腸内にもいます。そのため、私たちが普段スーパーで購入するようなお肉や魚介類(冷凍含む)にも見られるのです。
また、ウェルシュ菌は自然界にも多数存在しています。私たちの身近な生活圏にあるため、人や調理器具、食品や食材に容易に付着してしまうのです。
この細菌は、食中毒でおなじみのボツリヌス菌の仲間で、細胞分裂が早いという特徴があります。寒いから大丈夫…と油断しがちな冬場の食中毒には気を付けましょう。暖房が効いている部屋、家全体が温かいところでは特に注意しましょう。
このウエルッシュ菌は増殖すると、腹痛や下痢などの食中毒症状を引き起こします。注意しなければいけないのが、このウェルシュ菌は熱に非常に強いことです。
たとえ高温で加熱したとしても、芽胞となって活動を停止するだけで、生き延びてしまうのです。
一年中食中毒を予防する必要がある
食中毒というと高温多湿な季節のもの、と思いがちですが、実は一年中注意が必要なのです。食中毒には、原因となる菌と、それが増殖してしまう条件、菌が人体内で悪い影響を及ぼす過程があります。
カレーを作ったり、作り置きの料理を温めて食べたりする時に、ぜひ活用してほしいウェルッシュ菌による食中毒防止の知識です。
ウェルシュ菌の特徴
①ウェルシュ菌は空気が嫌いで、酸素のないところでよく増えます(嫌気性)。
②増えることができにくい環境下では「芽胞」という種のような胞子のような殻の姿で、生き残ります。芽胞は熱にとても強く、100度で1~6時間の加熱にも耐えられるものもあります。
③高温を芽胞状態で耐えたのち、他の細菌より高い温度帯(43度~47度)で発育します。適温になると、芽胞から通常の菌体に戻って急速に増え始めるのです。
④食中毒を起こす細菌です。ウェルシュ菌は細胞分裂が非常に早い細菌です。その速さは、最も速いといわれる腸炎ビブリオやコレラ菌にも匹敵するほどなので、ウェルシュ菌が多く付着する食品を食べると食中毒のリスクが高いです。
また、カレーや煮物などを大きな鍋で大量に調理した場合、加熱時に熱に弱い菌は死んでしまいますが、ウェルシュは熱に強い芽胞の状態で生き延びます。
⑤鍋のまま室温で放置された食品の温度が徐々に下がって適温になると、ウェルシュ菌は増殖し、芽胞を作る時にエンテロトキシンという毒素を産出するのです。
食中毒の発生件数としては上位ではありませんが、大量調理で起こりがちなので、発生時は大規模になることが多いです。
⑥ウェルシュ菌の付いている食品を食べると、腸の中で菌がエンテロトキシンという毒素を産生し、腹痛と下痢を起こします。潜伏期間は6~18時間(平均10時間)で、摂取した後24時間以降に発病することはほとんどありません。
症状として、下痢の回数は1日1回から3回程度のことが多く、主に水様性と軟便です。まず腹部の膨満感を感じて、腹痛、下痢へと移行すること多いようです。
トイレで過ごす平均回数としては、頻回ではないですし、トイレに籠りきりという下痢状態ではないようです。嘔吐や発熱もあまりみられないようなので、ひどく重い症状とは言えないでしょう。
激烈な痛みではないようです。症状は一般的には軽い部類に入るでしょう。
そうは言っても、罹患している時は辛いのですから、腹痛・下痢から早期に回復することが望まれます。稀に、体調・体質により、重症化することもありますから、発症後の体調管理には気を付けましょう。
ウェルシュ菌食中毒予防として
①前日に調理するはできるだけ避けましょう。
ウェルシュ菌は、食品の中である程度の数にまで増殖しないと、食中毒を引き起こせません。前日に調理するということは、大きな鍋の中で、菌が増殖する環境を作ってしまうのです。
②長時間室温で放置はやめましょう。
大量に調理したカレーや煮物はすぐには冷めません。調理場に鍋ごと放置して、徐々に温度が下がるのを待つことになります。高温で調理した際に、ほとんどの菌は死滅しているのですが、ウェルシュ菌は芽胞の状態で生き延びています。
ゆっくりと鍋内の温度が下がる途中で、ウェルシュ菌が芽胞から通常の菌体になり、増殖するのに最適な温度帯になってしまうのです。45度位に下がると、菌は急速に増殖し始めます。
鍋ごと冷蔵庫に入れても、鍋の中心部の温度は、簡単には下がりません。鍋を触って、冷えたと感じても中心部はかなりの高温であることが多いのです。また、鍋などの中は、酸素が少ない状態です。嫌気性のウェルシュ菌にはもってこいの環境なのです。
③作り置きを食べる時は十分に加熱しましょう。
作り置きの料理を食べる時、中途半端な温め方では、かえって菌が増殖してしまいます。ですから、温め直して食べる時には、十分に高温で温める必要があります。
「昨日あれだけ加熱したんだから、今日は軽く温めればいいよね?」とつい思ってしまいます。これが食中毒を招く行為なのです。
増殖していたウェルシュ菌をしっかり死滅させるのは、温め直しでも高温にすることが大切です。また、鍋の中央は、なかなか高温になりません。中心部まで火が通る様によくかき混ぜましょう。
鍋内の温度を均一の高温にしないと、菌を退治できないのです。中心部までよく火が通るように、かき混ぜながら温めると、鍋の中の温度も均一になりますし、ウェルシュ菌の嫌いな空気が入ることができるのです。
④保管する時は60度以上を保つこと
イベントなどで、作った大量の料理をずっと火にかけたまま保管している場合、係りの人が交代で鍋の面倒を見るということになりますが、煮詰まったり焦げたりするのを避けるために、ぎりぎりの弱火で、保温状態を保つことが多いのではないでしょうか。
この状態で、45度近くをキープしてしまうと、ウェルシュ菌にとって最適な環境になってしまいます。ですから、「火にかけた状態だから安心ということにはならない」という認識が必要です。
火にかけたまま、保管する場合、60度以上を保つようにしてください。60度以上なら、ウェルシュ菌が菌体に戻り増殖することができないからです。
どうしても60度以上に保つことが出来ない場合は、エアコンで室温を下げ、できるだけ早く鍋の温度を下げる工夫をしましょう。扇風機をつけて空気の流れを作り、まめに鍋をかき混ぜることで、早く冷ますことができます。予備の鍋に移せばさらにいいです。
⑦すばやく冷まして冷蔵庫へ
大鍋で大量に作った料理を室温で放置しないで、可能ならば鍋での保管ではなく、もっと冷やして安心できる温度にする方がおすすめです。
出来上がった料理を、小分けにしてすばやく冷まして冷蔵庫に入れて保管するのです。小分けにすると、早く冷めますし、ウェルシュ菌の嫌う空気に触れやすくなるのです。
ポイントは、小分けにした容器で、中心まで急速に冷やすことです。ウェルシュ菌が増える環境にしないということが大事です。
調理した料理はすぐに食べるのが安全なことは言うまでもありませんが、家庭で多めに作った料理ならば、すぐに冷蔵(10度以下)するか、可能ならば冷凍しましょう。
ウェルシュ菌食中毒の治療法とは?
特別な治療法はありません。 ウェルシュ菌食中毒の症状は、比較的軽いので、1~2日で回復すると言われています。安静にして、ゆっくりと下痢の収まるのを待っているのが、回復への近道です。
特に「ウェルシュ菌食中毒にはこの薬を使用しないと」という特効薬があるわけではなく、自然と治癒するのを待つのです。
もちろん、水分を摂り、脱水症状にならないように気を付けます。回復までを長引かせるのは、弱った体を大事にしないで無理をしてしまうから、ということにならないようにしましょう。
それでも、注意をするべきなのは、ウェルシュ菌食中毒にかかった人の汚れた洗濯物や、使用したトイレには、ウェルシュ菌がたくさん付着しているということです。今度は家族や友人がウェルシュ菌に…という連鎖になってしまわないように、注意する必要があります。
腸内環境を強化する
同じものを食べても食中毒になる人と、ならない人、あるいは食中毒になっても比較的軽い人、重篤になる人など様々です。その差は一体何でしょう。ズバリ、腸内環境が良いか、悪いかの差です。
つまり腸内環境が整って良い状態であれば、腸内に有毒なのもが入ってきたときに、有毒菌が繁殖しないような腸内環境になっており、又有害な物を排出する機能が正常に働いているからです。
ですので、下痢をはじめ、身体の不調がある人は、まず腸内環境をしっかりと整えてみましょう。下痢は一段と早く改善します。